過剰な皮脂分泌とニキビの関係

公開日: : ニキビの原因

皮脂の役割

ニキビを引き起こすといわれる皮脂。ですが、健康的でキレイな肌を保つためには大切な成分です。

ヒトの皮膚は、角質層、上皮、真皮の3層からなっています。もっとも外側の角質は、外からの刺激に対する第一のバリアの役割を果たします。皮脂は、この角質に分泌されて、保水の助けや微生物の侵入を防ぎます。皮脂は、外からの刺激から肌を保護するという、とても大切な役割を持っているのです。

ただ、皮脂は健康的な肌を保つ助けをする一方で、皮脂の生成が多すぎると、毛穴のつまり、アクネ菌の異常増殖、炎症などニキビを引き起こす要因となる可能性があります。

皮脂はどうやってできる?

皮脂は、脂肪やコレステロール、油など成分が複雑に混ざってできています。よく「脂っこい食事を摂ると皮脂がたくさんでる」と言いますが、実際には食事で摂った脂肪や油がそのまま皮脂になるわけではありません。ヒトの場合、皮脂は「皮脂腺」によって生産されます。哺乳類のほとんどは皮脂を分泌していますが、それぞれの動物ごとに独自の皮脂の生成をしています。

ヒトの場合、皮脂は、主にトリグリセリド、遊離脂肪酸、ワックスエステルおよびスクアレンから構成されています。グリセリドは、一般的には「油脂」と呼ばれ、2~3個の遊離脂肪酸がグリセロール骨格に接続した分子です。遊離脂肪酸は、グリセリドおよび他の分子を構築する要素で、極性頭部と非極性(脂肪族尾部)で構成されています。ワックスエステルは、エステル結合によって脂肪族アルコールと脂肪酸が結合した分子です。スクアレンは、天然に存在するステロイドおよび他のタイプのシグナル分子の基本的な構成要素として機能する、炭素原子がつながった疎水性鎖です。

ニキビと皮脂の関係

多くの調査や研究で、皮脂量とニキビ発症率には相関関係があるということが分かっています。皮脂がニキビの原因となる理由は諸説ありますが、その中でも最も一般的な理由は、「皮脂の増加により毛穴が詰まる」というものです。皮脂で毛穴が詰まると、そこに皮脂が溜まり、細菌の栄養源となります。毛穴の中で細菌が増殖して、やがて炎症が起こり、ニキビを引き起こすというものです。

非常に、皮脂の分泌が多い皮脂線障害を持つ人の多くには、重度のニキビやその他の皮膚疾患を持っています。そうした人の場合、皮脂の生成を減少させることで症状を改善させることができます。

皮脂分泌を抑えるには

皮脂線の成長や皮脂の生産は、ホルモンのシグナルによって制御されています。ホルモンバランスは、遺伝、生活環境、ストレス、食事など多くの要因が複雑に絡み合っています。皮脂分泌に影響を及ぼすものをそれぞれ見てみましょう。

アンドロゲン

アンドロゲンはテストステロンに似た男性ホルモンです。思春期はアンドロゲンのレベルが最高となるため、ニキビが発症しやすくなります。また、アンドロゲンは、特に顔、胸、および背中上部に位置する皮脂腺の増殖を刺激します。

エストロゲン

エストロゲンは女性ホルモンです。ほとんどの場合、エストロゲンは、アンドロゲンホルモンの効果を抑える働きをします。エストロゲンが減少すると、男性ホルモンの働きが強くなり、皮脂の分泌が多くなってしまいます。エストロゲンは直接、皮脂腺の活性を調節することができます。

環境条件

最近の研究では、皮脂分泌量は、季節や環境の変化に応じて変化することが分かってきました。ある研究によると、皮脂分泌量は夏の間に最も高かったというデータもあります。気温、紫外線、ストレスなど、環境条件が皮脂の分泌に影響を及ぼしていると考えられます。

ストレス

研究により、ストレスの増加とニキビの症状には相関関係があることが分かっています。ただし、ストレスが皮脂を過剰に分泌させることは無いため、間接的にホルモンバランスに影響を与えていると考えられます。

過剰な皮脂を抑える方法

過剰な皮脂を抑えるためには、レチノイドを用います。レチノイドは、皮脂の産生量を減少させることができる強力な抗ニキビ薬です。皮膚科などで処方してもらえます。レチノイドはローズヒップシードオイルのような、精油にも存在しています。

その他、ホルモン治療として、アンドロゲンを抑える薬や、経口避妊薬(エストロゲン)などを用いる方法もあります。

自宅で出来る方法としては、ビタミンC誘導体が配合された基礎化粧品でスキンケアすることも効果的です。


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