ビタミンAでニキビケア!ビタミンAの摂り方と注意点
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生活習慣・サプリ
ビタミンAは、身体の多くの機能にとって非常に重要な栄養素です。またニキビを予防し、健康な肌を保つために最も重要なビタミンでもあります。
ビタミンAは、ビタミンCのような水溶性ビタミンとは異なり、脂溶性ビタミンに分類されます。過剰摂取したビタミンCは尿と共に体外へ排出されるのに対し、ビタミンAの場合は脂肪組織に蓄積されます。
つまり、ビタミンAを過剰摂取した場合、尿と共に排出できないので中毒症状が起こります。ビタミンAの中毒症は、大抵の場合命に関わる危険性はないものの、肝臓に大きな負担を強いる他、様々な問題を引き起こします。
以上の理由から、ビタミンAのサプリメントを摂取する場合は、医師に相談することを強く推奨します。
なぜニキビにはビタミンAが効く?
ビタミンAは、体を構成する4大組織のひとつである上皮組織の発達をコントロールします。上皮組織は、体の表面を覆う細胞組織であり、様々な機能を担います。
ビタミンAの一種であるレチノイン酸は、肌の健康を保つのに役立ちます。皮膚細胞に対して作用し、細胞分裂と細胞の成長を促進するのです。
レチノイン酸は、ニキビ治療薬に利用されています。これらの治療薬の効能は、皮脂腺を収縮させて皮脂の分泌を減らすこと、皮脂腺内の細菌を減らすこと、炎症を抑えることなどです。
では、これらの効能を、副作用の多い高額な医薬品に頼らずして得ることは可能なのでしょうか?
ビタミンAが皮膚に与える好影響
- 皮膚の生まれ変わるサイクル(ターンオーバー)を早める。
- 肌の衰えを遅らせる。
- コラーゲンの生成を促進する(コラーゲンは皮膚に含まれる結合組織)。
- エラスチンの生成を促進する(皮膚の弾性を高める)。
- 皮膚の他の結合組織の生成を促進する。
- ニキビの原因となる細菌を除去する。
- 皮脂腺を縮小させ、皮脂の分泌を抑制する。
ビタミンAを利用したニキビケアの方法
ビタミンAを利用したニキビケアには、大きく分けて2つの方法があります。1)ビタミンAを経口摂取するか、2)皮膚に居所的に塗布するかです。
ビタミンA塗布によるニキビケア
ビタミンAの塗布治療は、ニキビやシワ、その他の皮膚疾患に非常に高い効果があります。以下に、4つの塗布治療を、即効性の高い順に挙げていきます。ただし即効性の高い治療法ほど、治療の不快度や刺激性も高くなります。
ビタミンA酸(レチノイン酸)
レチノイン酸は、ビタミンA類の中で皮膚に直接作用する唯一の形態です。レチノイン酸と他のビタミンA類の違いは、レチノイン酸だけは、ビタミンAの不活性形態(inert forms)に戻ることができないことです。
つまり、レチノイン酸は皮膚の生理活性の本体そのものであるので、塗布するとすぐに効果が発揮されます。
問題は、私たちの皮膚が利用できるレチノイン酸はごく少量であることです。過剰に塗布されたレチノイン酸は皮膚に吸収されず、また不活性形態に戻ることができないので炎症を引き起こします。この炎症こそが、俗に“ビタミンA荒れ”と呼ばれる赤い発疹の原因です。
もしニキビの症状がひどい場合や、即効性のある治療を希望する場合は、レチノイン酸治療を試すのも良いでしょう。
ビタミンAアルデヒド(レチナール)
レチナールは、ビタミンAアルデヒドとも呼ばれます。このレチナールが酸化されることで、レチノイン酸となります。レチナールを顔に塗布した場合、皮膚組織は利用可能な量のレチナールを酸性化した後に、その残りを皮膚に対する負担の少ないレチノール・エステル(retinyl ester)に変化させます。
大まかに言って、レチナールは皮膚に対する負担は少ないものの、作用するためには酸化する必要があるので効果が表れるのがより遅いということです。
ビタミンAアルコール(レチノール)
レチノールは、ビタミンAアルコールです。したがって上記の2つのビタミンA類より負担が少ないものの、さらに効果が表れるのが遅くなります。
レチノールは、ビタミンA治療に最も広く用いられています。濃度2%のものから始め、継続治療には4%を使用し、短期間の積極的治療には8%を使用するのが一般的です。
ビタミンAエステル(Retinyl Palmitate)
エステルは、人間の体内で最も一般的なビタミンA類です。4つの方法の中で、最も刺激性が少ないですが、効果が表れるのも最も遅くなります。
どれを選ぶべきか?
もしニキビの症状がそれほどひどくなく、瘢痕化の恐れも低い場合は、刺激性の少なく遅効性のビタミンAエステルなどを利用することを推奨します。
もしニキビの症状がひどく、瘢痕化の恐れが高い場合は、即効性の治療オプションを利用するのもひとつの手です。
ビタミンAの経口摂取によるニキビ治療
ビタミンAのサプリメントは大きく分けて2種類あります。1つ目は前述したレチノール。これはドラッグストアで普通に売っているタイプのビタミンAサプリメントです。もう1つはイソトレチノイン(Isotretinoin)です。これはレチノイン酸と似たタイプのビタミンAです。
ビタミンAサプリメントの摂取を始める前は、必ず医師に相談しましょう。もちろん治療薬は処方箋がないと手に入りませんが、ドラッグストアで販売されているタイプのビタミンA(レチノール)サプリメントについても、医師との相談なしに購入してはなりません。
通常のビタミンA(レチノール)サプリメントの経口摂取
一般的には、レチノールの摂取は有効なニキビ治療法だとは考えられていません。ニキビ治療の場合、レチノールは通常50,000~100,000IUという免疫単位で処方されます。
しかし「International Journal of Dermatology」に発表された研究によると、女性に対しては300,000IU、男性に対しては400,000~500,000IUという多量の投薬を、3~4カ月に渡って継続して行うことで、ニキビに対して高い治療効果が得られたそうです。この実験の参加者が訴えたビタミンA中毒症状は、皮膚や粘膜の過度な乾燥などごくわずかなものでした。
ただし、「Food and Nutrition Board of the National Academy of Sciences」は、ビタミンAの1日の摂取限度量を10,000IUに設定していることも留意すべきです。したがって、もしビタミンA(レチノール)サプリメントの大量摂取を希望する場合は、まずは医師に相談すべきでしょう。
イソトレチノイン(Accutane)の経口摂取
イソトレチノインは、レチノイン酸と似た種類のビタミンAです。非常に効きめの強い薬で、様々な副作用が起こる可能性も多いことから、通常は重度のニキビ症例に対してのみ使用されます。
アメリカでは、イソトレチノインの処方については、FDA(食品医薬品局)により義務化されているiPLEDGEというウェブサイトの利用も含め、非常に厳しい規準が課されています。他の国でも同様に厳しい規準が課されているようです。
しかしながら、もしニキビの症状が重く瘢痕化の恐れがある場合は、イソトレチノインの摂取を考慮しても良いでしょう。まずは医師に相談することです。
ニキビ治療に有効な他のビタミンについて
ニキビ治療には、ビタミンAの他にも重要なビタミンがいくつかあります。特に推奨するのは、ビタミンCとビタミンEです。
ビタミンEは、細胞膜のダメージを防ぎ、皮膚がニキビ跡から回復するのを助ける他、強い抗酸化作用があります。また体内のビタミンAの量を調整する機能も果たします(これは大変重要な役割です)。
ビタミンCは、炎症を抑え、健康的なコラーゲン量を保ち、免疫システムを促進する役割があります。こちらもまた強い抗酸化作用があります。
適切なビタミンやミネラルを十分に摂取することで、ニキビは間違いなく改善します。しかしこれは効果的な治療プログラムのほんの一部でしかありません。ニキビというのは、私たちの身体の内部の根深いバランスの悪さが、目に見える形で表れた症状なのです。つまり、もしニキビの根本的な解決を望むならば、このバランスの悪さを矯正する必要があるのです。
不健康な食生活やライフスタイル、その他の要素が、あなたの身体にいわゆる“ニキビ環境”を作り上げます。これはニキビが成長しはびこるような環境だと思ってください。
市販されている薬品、ニキビクリーム、ピルなどいろんなものを試すことはできるでしょう。しかしニキビの根本原因である体内のバランスの悪さを改善しないことには、完全に症状が消えることは決してありません。
この記事はあなたの役に立ったでしょうか。ビタミンAによるニキビ治療の経験者の方は、ぜひ体験談をお聞かせください。